海外事例に学ぶ集客・売上UP方法byライフエスコート

ライターブランド「BIC」が消費者と販売者向けに行った販促マーケティングキャンペーン

2016/09/19

出典:http://www.golosinaspormayor.com/ventaonline/tienda/encendedores/encendedor-maxi-bic/

この事例から学べること
・CM告知の内容とホームページ、SNSを連動させることの重要性
・応募方法はシンプルにわかりやすく
・消費者と販売者向けの各キャンペーンを同時に実施し、販売数をアップする

1.はじめに

1940年にフランスで万年筆やシャープペンシルの会社として生まれた「BIC(ビック)」、現在では世界160か国に進出している超有名企業です。

1965年には日本進出も果たし、1973年には筆記用具と共に、社の代表商品となるライターが販売開始されました。

40年以上に渡って日本人に愛されているライターは勿論アルゼンチンでも超有名!国内のほとんどのスーパーマーケットや売店で取り扱っている、ライターのNO.1ブランドと言えるでしょう。

アルゼンチンで販売されているのはレギュラーサイズとミニサイズ、勿論筆記用具や剃刀などもスーパーマーケットや個人商店で販売されています。

2.キャンペーン名

キャンペーン名 PRENDE SEGURO HASTA 3000 VECES(プレンデ・セグーロ・アスタ・3000・ヴェセス)
期間 2016年9月12日00:00~2016年10月12日23:59
対象 BICのキャンペーン対象ライターを購入した人(アルゼンチン・ブエノスアイレス州のみ)
目的 販売促進、マーケティング、顧客情報収集
内容 キャンペーン期間中にBICライターを購入し、キャンペーン公式HPから応募。バーコード抽選で毎週パリージャセット、応募コード抽選で電化製品が当たる。
対象URL http://www.momentosbic.com/
※現在終了しております。

3.応募へのきっかけ

ある日PCで作業をしていると、ウキウキ顔の主人から「BICライターでキャンペーンやってるよっ♪」との報告を受けました。

サッカー大国アルゼンチンにはスポーツ専門チャンネルが6チャンネル(契約しているテレビ会社による)程あるのですが、同じスポーツ番組で2回もキャンペーンの告知を見たと言います。 「これはチェックしなくては!」と使命感に駆られた筆者は、早速公式HPをチェックしてみました。

4.公式HPを早速チェック!

4-1.トップページ

(出典:http://www.bicworld.com/es/homepage/homepage/)

こちらの写真がBICのアルゼンチン公式HPなのですが、一言もキャンペーンの文字がありません。

「…ん?????私のスペイン語レベルが低すぎるのか?!それともライターという仕事をしているくせに、検索が下手くそなのか?!」と思い、早速主人を招集。

意気込んで「俺に任せろ!」的に自信たっぷりでしたが、数分経過…スペイン語が母国語の人でも全くもって探せない!これは一体どうしようかと公式HPの一旦チェックを中止しました。

…公式HPにキャンペーンが一切記載されていないって…どうなのよ世界のBIC。

たしかにライター以外にボールペンや剃刀等、色んな商品を扱っているとはいえ…これでは参加する人に全然優しくないっ!! 結局その日の深夜に番組の再放送でキャンペーンキーワードを知ることが出来、キャンペーンの公式HPを見つけることができました。

このテレビCMは「通常の15秒のイメージ動画CM」ではなく、よく日本のワイドショーであるような「番組の間にMCが口頭で紹介するタイプの告知CM」。

筆者が見たのは視聴者男性95%、有名サッカー解説者が集まって自分の意見を本気で言い争う、国内で人気のサッカー専門番組「Estudio de Futbol(エストゥディオ・デ・フットボール」。 他の番組でBICキャンペーンのテレビCMや番組内の告知CMを見つけることはできませんでしたが、この番組では放送時間中数回に渡ってMCによる告知が行われていました。

Estudio de Futbol公式HP:http://www.tycsports.com/EstudioFutbol
Estudio de Futbol キャンペーン期間外の過去放送(YOUTUBE):https://www.youtube.com/watch?v=3h5Ef-Z_Q2c
番組生放送は13:00~、深夜帯に再放送有り

無事にキャンペーンの公式HPにたどり着くことが出来ましたが、こんなにキャンペーンの詳細を探すまで時間がかかったのは初めて! キャンペーン用の公式HPへのリンクくらい、公式HPに書いておいてよ…と思った次第です。

4-2.キャンペーンの公式HPの様子

公式HP:http://www.momentosbic.com/

さて、まず最初に表示されたのはこのページ。他のページに飛ぶタブは右上の赤い「PROMO KIOSCOS(プロモ・キオスコス)」=キオスコのキャンペーン」というタブのみ。 ここで抱いた感想は「とてもシンプル!」という事。

一番大きく表示されているのは「PRENDETE EN ESTA PROMO(プレンデテ・エン・エスタ・プロモ) = このキャンペーンに着火して」と、ライターだからこそのジョーク交じりの一文が。笑 その下には「BICライターのバーコードを入力すると、毎週誰かにパリージャ・コンロをプレゼント!」と書かれています。

…今ほとんどの方が「パリージャって何だよ」って突っ込まれましたね?

それもそのはず、パリージャとはアルゼンチン特有の文化なので、ほとんどの方が初めて耳にした言葉だと思います。

牛肉大国アルゼンチンは人口よりも牛の頭数の方がはるかに多く、日本人のお肉に対する常識を根本から覆してくれる程、お肉が安くて美味しいのです♡ 最高級のフィレステーキが1キロ約150ペソ、日本円に換算すると約1,000円…ちなみに1キロあれば5人前のステーキになります。

一人前に換算すると最高級のフィレステーキ約200円…ね?ありえないでしょ?最高級の部位でこの値段、更に安い部位だとキロ数百円で購入できます。

このような理由から、一般家庭で牛肉が食卓に並ばない日がない程、お肉とアルゼンチンの食生活は密着しています。

そんなアルゼンチンでは、「お父さんの日曜大工」ならぬ「お父さんの日曜パリージャ」当たり前、毎週家族や友人が集まってパリージャを囲んで昼からワインを片手にホームパーティーをします。

(出典:http://www.lanacion.com.ar/1632953-tras-el-triunfo-en-el-clasico-lionel-messi-festejo-con-un-asado)

前置きが長くなりましたが「パリージャ」とは…日本では絶対に考えられない程に豪快すぎる炭火焼きBBQです!

世界のトッププレイヤー、メッシ選手も勿論パリージャの焼き方を心得ていらっしゃいます。写真に映っているのはアサードと呼ばれる部位で、日本でいうカルビと骨付きカルビ。

こんな大量のお肉、しかもカルビを日本で購入すると数万円になると思いますが、この写真に映っている量をざっと計算しても1万円以下で収まっていると思います。

4-3.キャンペーン対象商品の紹介ページ

…そろそろこの記事の本題に戻りましょう。
キャンペーンの当選商品は「パリージャ・コンロ」、パリージャのオーブン型コンロやBBQ型コンロです。(”コンロ”と翻訳していますが、ガスではなく炭で調理します。)

「そんなの場所取るし絶対いらないじゃん」という方は多いと思いますが、ここはアルゼンチン。

一軒家のアルゼンチン人の家には、必ず中庭にこのパリージャ・コンロや専用の焼き場があります。ちなみに賃貸マンションにも共有で、庭や屋上にパリージャの焼き場は標準装備です!

アルゼンチンの一般家庭には95%あるものですが、買い替えとなると数万円コース。月収8万円のアルゼンチンでは引っ越しでもしない限りパリージャコンロは買いません。

キャンペーンの公式ページの下には「応募のバーコードを記入する欄」、その下にはキャンペーンの詳細と約款ページがありました。

キャンペーンの詳しい内容とアルゼンチンの宝くじや抽選に関する法律が書かれていました。
ここで分かった事は…

等が記載されていました。

4-4.もう一つのキャンペーン

さて、トップ画面の右上に表示されている「PROMO KIOSCOS(プロモ・キオスコス)」という唯一のタブを押してみると…こんな画面になりました。

ほとんど同じような内容ですが、当選商品と応募番号が違います。

こちらのキャンペーンの当選商品は液晶テレビとタブレット、また応募番号はバーコードではなくライターに付いている銀色のステッカー。

「1つのライターで2つのキャンペーンに参加できるの?でも何だか不自然…。応募番号って普通1つじゃないの??」
と思い、キャンペーンの詳細と約款ページを見てみると…

こちらも先ほどのパリージャフルセットが当たるキャンペーンの詳細と全然違う!

よく見てみるとこのキャンペーンは一般消費者ではなく「ライター販売店の為のキャンペーン」という事が判明しました。

さて、先ほどから何度か出てくる「KIOSCO(キオスコ)」という言葉、これも皆さん聞きなれないですよね。
アルゼンチンには、日本の常識「24時間営業のコンビニ」という物がなく、その代わりに「KIOSCO(キオスコ)」という物が沢山あります。

(出典:http://www.needasim.com/posts/argentina/)

イメージで言うと日本の電車の駅にある売店のような物で、タバコ・お菓子・飲み物・ケータイ用プリペイドカード等が主に販売されています。

チェーン化している店舗は少なくほとんどが家族経営の個人店、日本の「タバコ屋さん」や「駄菓子屋さん」の様なイメージです。JRの駅の売店は「キオスク」、まさにあれです☆

このキャンペーンは、BICライターを取り扱っているキオスコや個人商店のオーナー向けで、一般の人がライターを何本購入しても参加は出来ないと記載されていました。

これならキャンペーンを知らずに自分のお店にライターを買いに来たお客さんに、BICのライターを勧めて購入してもらって、仕入れの数を上げてキャンペーンコードをゲットしようと思うのではないでしょうか。

消費者と販売者向けに違うキャンペーンを同時に行うことで、ライターの販売数を一気に伸ばすことが出来ますよね!

5.早速応募してみましょう!

さて、キャンペーンの内容は分かったので早速近所のキオスクでライターを購入、バーコードをゲットしました。

アルゼンチンでは、日本のように販売価格が均一されていないのが悲しいところ。キオスクやスーパーマーケットによって価格が違います。 今回ライターを購入したのは筆者がいつも行くキオスコ、15ペソ(100円)で購入することが出来ました。

バーコード番号は「0-70330-90922-9」、これで準備は完璧!早速応募してみましょう☆

勿論私は個人商店のオーナーではないので、一般用キャンペーンのみの参加になります。
先ほどのバーコードを画面下にある「応募番号の記入欄」に記載し「CONTINUAR(続ける)」のボタンを押すと…

個人情報を記載する欄が表示されました。

まず最初に出てきたのは「Nombre(ノンブレ)=下の名前」を記入する欄。ちなみに一番下には進行状況が分かるように「●%終了」との記載が。
これなら終わるまでの時間が予測できてノンストレスです♪

名前を入力すると「OK」を選択するボタンが自動で表示されました。(筆者の本名なので黒で塗りつぶしてあります。)
OKボタンを押すと…

次の「Apellido(アペシード)= 氏」を記入する欄が自動で表示されました。
このような流れで以下の項目をどんどん入力していきます。

合計6項目を入力後、キャンペーンの詳細と約款が表示されました。

このままどんどんスクロールしていくと…

最後に「承認する」と「承認しない」のボタンが表示されました。
「承認する」のボタンを押すと…

「●●(筆者の名前)このキャンペーンに確実に応募をしておきました。当選していればこちらからメールを送りますのでお楽しみに。2016年10月15日には公式発表もします。幸運を!」

との一文と、各SNSのリンクボタン、そして「Finalizar(フィナリザール)=終了」のボタンが表示されました。

よく「応募が完了しました」等の一文は表示されますが、自分の名前が応募後の画面にきっちり反映されている事に少し驚きました!
そして「Finalizar(フィナリザール)=終了」を押すと…

自分のメールボックスに、BICからメールが届いているではありませんか!
「え、もしかして当選?!」と喜んだのもつかの間、先ほどキャンペーンの応募が終了した時に出てきた文言と全く同じ分でした…。

でもちゃんとメールが届くって事が分かった事で「きっちり応募できている」という事!

今まで様々なキャンペーンに参加してきましたが、きっちり確認のメールを送ってきたのはBICが初めて!!
こういう詳細な気遣いができるのに、どうして公式HPにキャンペーン公式HPのリンクを貼らないのかが不思議で仕方ありませんが。(しつこい。笑)

6.このキャンペーンに応募してみて

このキャンペーンに参加してみて一番印象に残ったのは、無駄な情報を一切排除してシンプルな公式HPに仕上げられていたという事。

キャンペーンの応募方法もシンプルで分かりやすく、応募終了後に自動でメールが届く等詳細な部分で「あ、本当にこのキャンペーンに応募できている」という安心感やキャンペーンの信憑性もありますよね!

個人情報も必要最低限の項目だけなので、期間中にライターが必要になればBICの物にして応募してみようかな…とも思います。

また通常のCMではなく視聴者が集中して見る確率の上がる番組内での告知を、キャンペーンのターゲット層であるアルゼンチン男性が必ず見るであろう超人気番組に絞って何度も繰り返して告知をしていること。

また筆者が見ていないだけで、違う番組でも告知CMは流れていると思います。
素人意見ではありますが、これならテレビCMの作成費用や広告費用をバッサリカットして、経費が削減されているのではないでしょうか。

残念だった点は本当にしつこいですが、キャンペーンの公式HPにたどり着くまでが少々難しく、Facebookやツイッターで情報を集めようとしてもノーヒット。

テレビ番組内の告知を見てキャンペーンの名前をしっかりと覚えていないと、キャンペーンの公式HPにたどり着けないのは…少々優しさが足りないと思います。s公式HPやキャンペーンアイデアが素晴らしいだけに…とても残念。

日本ではほとんど喫煙者しか使用することのないライターですが、この国ではオーブンやストーブの種火を付けるのに必要不可欠な物。
パリージャをする際の炭の火起こしにも絶対に必要です。

限られた番組内でしか詳細を得られないことから勝率は予測が付けられませんが、大手のビックキャンペーンより当たる確率が高いのは確か。

もしパリージャ・コンロが当たったら…商品到着までの流れや、自宅でのパリージャ・パーティーの様子も含めてご報告させていただきたいと思います☆

 

このようにライフエスコートでは、日本にとどまらず世界で実施されているキャンペーンの実態を調査し、オムニチャネルキャンペーンを検討されている企業様へ最新の情報をメールマガジンにてお届けしております。

また、実際にキャンペーンを行うにあたって、どのチャネルでどのようにお客様と接点をもつべきなのか、さらにどのようなキャンペーンがお客様の気持ちをワクワクさせるのかなど、弊社では多くの事例をもとに御社に最適なご提案をさせて頂きます。

是非、オムニチャネルキャンペーンをご検討の企業様は、ライフエスコートへお気軽にご相談ください。

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