Web制作現場の陰の努力。StatCounter(スタットカウンター)で徹底解析【LE通信80号】

少し前の話ですが、2017年4月12日(日本時間)にWindows Vistaのサポートが終了し、併せてWebブラウザの「Internet Explorer(IE)9」のサポートも終了となりました。
2016年1月13日にほとんどのOS(オペレーティングシステム)でIE8からIE10のサポートが切れましたが、Windows Vistaで使用できる最新バージョンのブラウザがIE9だったため、Windows Vista × IE9の組み合わせだけがサポート対象として残っていたのです。ですがこのIE9、表示崩れを起こしたり動作に問題が出たりと不具合が起こり易く、Web制作現場では専用の対応を行わなければならない手の掛かる問題児という存在で、多くの作業者を困らせてきました。
OSやブラウザのサポート終了を作業現場では喜んでいますが、このサポート終了とはいったいどういう事でしょうか。

今回はOSのサポートやブラウザのシェアについて見ながら、Web制作現場の目に見えぬ努力についてお話させていただきたいと思います。

1.OSのサポートとは?

マイクロソフトが開発しているOSにはWindows10や8.1/8、7、Vistaといったバージョンが存在します。マイクロソフトは製品発売開始後、最低5年のメインストリームサポートと最低5年間の延長サポート(合計最低10年間)を提供すると宣言しています。

裏を返せば、発売開始から10年を目途にセキュリティ更新プログラムや有償サポートが受けられなくなるという事です。
サポートを受けられなくなったOSは、セキュリティ上の欠陥を突く新たなウィルスの攻撃を防ぐことが出来ずに感染し、果ては取引先やお客様のPCにまで感染を広めてしまう危険性があるため、使い続けることはできません。そのことから、前述のOSサポート終了 → IE9の使用が無くなる → IE9専用対応も終了 → Web制作現場が喜ぶ という図式になるのです。

また、サポート終了は導入企業にとっては、OSの切り替えに多くのコストがかかるため、早めに切り替えを計画し、サポート終了までに切り替えを行うことが必要となります。
参考までに現在公式に発表されているWindowsのサポートライフサイクル日程を掲載しておきます。

製品名 メインストリーム
サポート終了日
延長サポート
終了日
Windows 7 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows 8.1 2018年1月9日 2023年1月10日
Windows 10 2020年10月13日 2025年10月14日

2017年10月現在

2.本当にIE9を使っている人はいなくなった?

Web制作現場での対応終了は、制作者側で勝手に都合の良い解釈をして、ブラウザの対応を怠っているだけで、実際には使い続けられているのではないかと思う方もいるでしょう。私もそのように思ったので、調べてみました。
使用したツールは、アイルランドの企業が提供しているアクセス解析サービスの StatCounter(スタットカウンター)です。
StatCounterの調査は、世界の250万以上のWebサイトにインストールした追跡コードのデータに基づいていて、これらのWebサイトへの月間ページビューは150億以上という信頼できるものです。

デスクトップブラウザに的を絞って行った解析では、2017年8-9月のIE9の日本におけるシェアは0.62%という結果でした。2015年8-9月にはおよそ3%のシェアがありましたが、現在ではあまり考慮しなくてもよい数値にまで減っていることがわかります。危険な状態で使い続けているユーザーは少ないという事でホッとしました。

「StatCounter(スタットカウンター)」の解析はWeb制作現場では、ユーザーがどのようなデバイス(含OS)を利用してWeb閲覧をしているのか、その動向を調べるツールとして利用されています。次にスマートフォンやタブレットを含めた解析をしてみたいと思います。

3.Android、ネットに接続するOSとしてWindows越え

今年の春頃、世界中でインターネットに接続するOSのシェアでAndroidが初めてWindowsを超えてトップになり、「1980年代から続いてきたマイクロソフト天下の終焉」と、話題になりました。

この時は、僅か数年での急激なOSシェアの変化に驚きましたが、アジアやアフリカの新興市場では、PCを持たず、スマートフォンがインターネットに接続する主な手段となっていることがAndroidのシェア拡大の要因となっていて、日本の実情とはかけ離れた情報だったのです。

直近の解析結果でも日本ではまだWindowsが優位です。これはヨーロッパやアメリカも同様なのですが、Windows圧倒的優位の結果に疑問を持たれた方も多いと思います。私もいくつものサイトへの流入を解析して「もっとスマートフォンを利用されている方は多いのではないか」と感じるのですが、プログラム開発や資料作成等、まだPCやMacでなければ出来ない事も多く、企業などの利用を含めた結果ではこのようにWindowsが優位となっているのです。

個人ユースに限ればスマートフォン、タブレットの利用はもっと多く、今後はPCやMacでなければ出来ない事も減り、iOSやAndroidのシェアが伸びることは確実です。
次にスマートフォンやタブレットのブラウザについて見てみましょう。

4.スマートフォンの解像度

スマートフォン専用のサイトが登場したころ、多くのスマートフォンサイトはスマートフォンを縦位置で保持したときの横幅320pxというサイズを意識して制作されていました。

ところが、モニターのサイズはどんどん拡大し、Retinaディスプレイのような高画素密度のモニターまで現れ、サイト制作は複雑化してしまいました。
「StatCounter(スタットカウンター)」で、現在日本で利用されているスマートフォン、タブレットの主なモニター解像度を見てみましょう。

375×667、320×568、414×736、320×480がiPhoneシリーズ、360×640、412×732がAndroid系スマートフォン、768×1024がiPad、その他がAndroid系タブレットです。スマートフォンだけを見ても主なもので6種類×2(縦位置/横位置)となり、かなり複雑化しました。iPhone 6、6Plus発売後、比較的落ち着いていたモニターサイズも、iPhone Xでまた新たなサイズ(375×812)が加わるそうです。

冒頭で「IE9への対応が無くなり制作現場は喜んでいる」と話しましたが、このように新しいデバイスが発売さるされると、対応するためにサイトに手を加えているので、作業は減るよりも増えることの方が多く、そのため、現場では常にアンテナを高くして情報を仕入れ、人知れず目に見えぬ努力で新しい問題に対応しています。
弊社には専門知識を持ったスタッフが多様な条件の下でウェブサイトを制作しており、お客様からのお問い合わせにお応えしております。

ご興味を持たれた方は是非ご連絡ください。

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