売れるタイミングを逃さない。全チャネルで満遍なく売れるマーケティングのポイント【LE通信94号】

ECサイトや実店舗を運営する上で、マーケティングは要になると考えられます。しかし実際の現場では、マーケティングの取り組みだけでは多様化した顧客ニーズの変化が把握しづらく分析にも時間を要しているのではないでしょうか。

例えば弊社所有の撮影所では販売商品のサンプル撮影を行っており、そこでは各担当者(検品管理者・スタイリスト・撮影者)が実商品の着心地や機能等のメリット等を1アイテムごとに確認し、顧客ニーズの変化を把握できるよう努めております。

顧客が購入に至るような要因を見出し「購入したい」ニーズを引き出すには、販売経路(バイヤー・メーカー・撮影所・ECサイト・実店舗等)全てがチャネルの一部であり、*一貫性を持つ事がより顧客に対する利便性の提供に繋がると考えられます。

*一貫性とは・・・
「人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く。」
(引用元: 一貫性の原理)

本誌では、従来よりなじみのある”マルチチャネルマーケティング”戦略と近年誰もが耳にするようになった”オムニチャネルマーケティング”戦略との違いを具体的に考察していきます。

1.マルチチャネルマーケティングとオムニチャネルマーケティングの戦略比較

◆マルチチャネル◆ ※Multi(複数の)channel(経路)
複数の独立した販売*チャネル(*実店舗・ECサイト・HP・SNS・DM・等)を提供するマーケティング戦略を指します。つまり個々のチャネルが独立していて、他のチャネルと交わらない販売方法です。

◆オムニチャネル◆ ※omni(全ての)channel(経路)
「実店舗やオンラインストアをはじめとするあらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合すること、および、そうした統合販売チャネルの構築によってどのような販売チャネルからも同じように商品を購入できる環境を実現することである」と定義されています。
*引用元:IT用語辞典 Weblio辞書
オムニチャネル

この”オムニチャネルマーケティング”は、顧客の利用するパソコン・スマートフォン・タブレット端末等の複数のデバイスが多様化する中、一貫性のある情報を供給して顧客を逃すリスクを排除してくれる戦略と言えます。この一貫性のある”オムニチャネルマーケティング”は近年注目され、皆様の身近にある大手企業でも展開されています。

チャネル別 -購入に至るまでの行動モデル-
|マルチチャネルの場合:例|
・店舗で欲しいと思った商品の希望サイズの在庫がないという理由で購入を断念。(店舗は独自で在庫情報を管理)
・店舗にないと言われた商品がECサイトでは在庫があった。(店舗とECサイトの連携が無かったため、他の商品を購入した後にストレス要因を与えてしまった)
また、店舗とECサイトが同一の在庫にも関わらず、個々で管理しているとどちらかで販売した際に、やむを得ず、注文をキャンセルしなければならないといったケースが生じる場合もあります。このようなケースは、購入に至らず、離脱する可能性やリピート客を逃す可能性が生じてしまいます。

|オムニチャネルの場合:例|
・たまたまショッピングに来たA区の店舗で欲しい商品を発見したが、希望サイズの在庫がなかった。
→店舗スタッフがECサイトで在庫を確認し、在庫があったため、自宅近くのB店舗に商品を取り寄せた。
→翌日B店舗から商品が入荷した連絡があったので、実物の試着をした上で納得して購入する事が出来た。
このようなケースでは、顧客が持つ複数のチャネルに対して、一貫性のあるサービスが提供でき、”要望に応えてくれる企業”という位置付けが可能です。

オムニチャネルマーケティングの構築がなされていない場合、例えば新聞やチラシに掲載されている商品が通販では掲載されていないといった事態が想定されます。こういった場合、顧客の購買意欲を削がせてしまう要因になります。顧客の購買意欲を満たすには、顧客が新聞やチラシで見かけた商品を外出先で思い出した場合、SNSやECサイトから手軽に購入できるオムニチャネルマーケティングを提供する事が重要です。

2.ECサイトと実店舗を一貫するオムニチャネルマーケティング 考察

注目すべく最近の例としてAmazonのオムニチャネルマーケティングによる顧客誘導の仕組みの一例を見ていきたいと思います。世界的にECサービスを展開するAmazonが実店舗進出し、オンラインからオフラインへの新たなオムニチャネルマーケティングを再定義した事によって進化系オムニチャネルを確立しています。アマゾンジャパンではAmazon Payを導入する事で、一貫したサービスを提供しています。「Amazonアカウントを利用して御社のECサイトでお買い物できるようになります。」これは企業の利便性と共に顧客の獲得をも確立する、誰の目にも扱いやすい進化系の戦略ではないでしょうか。


*引用元:Amazon
https://pay.amazon.com/jp/merchant

また、Amazon Payは実店舗でのスマートフォン決済にも対応しているので、アカウントを持つ顧客を逃さないという一貫性が武器になっています。顧客が登録したAmazonのアカウントが1つあれば都度面倒な設定が不要で、QRコード等を利用した時短ショッピングが身近になるのです。Amazonは顧客にとっても、複数の実店舗やECサイトを持つ企業にとっても利便性を持たせる母体となる戦略の成功例として拡大し続け「世界のECランキングTop 50 (2017年)」1位に君臨しています。


*引用元:経済産業省「調査結果要旨」
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-1.pdf

3.オムニチャネル・マーケティングによる効果

とは言えデバイス毎によるシステム構造の分散を回避するには、顧客の期待を超える一貫性の構築が軸となる必要性が考えられます。それには顧客を取り囲む物理的及びデバイスによる購買傾向モデルを統合し、ニーズを予測するという過程が必要になりますが、その方法を具現化するにはどうすればよいのでしょうか?この場合、自社での構築が課題です。具体的には実店舗とECサイトでのオンライン注文の連携等が重要です。

一貫性のある構築例
例1:
オンライン注文→店舗在庫完全管理→店舗引き取り
=顧客の趣向や傾向がデータとして残留する事でデータ分散の回避が可能となる
例2:
オンライン注文→コールセンターで注文変更→オンラインシステム上で配送状況確認(配送業社システムの取り込み等)
=購買時の履歴や傾向から問題解決システムの構築に繋げる事が可能となる
例3:
実店舗で顧客が欲しかった商品が売り切れている→
オンラインシステムで在庫している最も近い店舗を発見し、最短で店舗に取り寄せ→
「試着して購したい」というニーズに対応でき、店舗での試着環境から他商品との比較検討へも促せる→顧客別の購入に至るニーズを逃さない環境が構築できます。
その他
・日本には四季があり、地域別に”商品の売れ筋”や”売れる時期”等タイミングを逃した在庫でも別店舗では需要がある場合があります。
その場合は展開している店舗間で満遍なく提供できる連携が取れ、不良在庫を出しにくい連携展開が構築できます。

4.一貫性から得る顧客ニーズの把握

ここまでの通り、一貫性を持たせたサービス=オムニチャネルによって、従来より遥かに顧客の移り行くニーズに寄り添う事が可能となります。
ですがそれには顧客ニーズの超多様化や高速変化により、従来の”経験”や”勘”だけで正確に把握するのは不可能だと言われています。
*引用元:日経ビジネスONLINE「店舗での顧客体験こそがオムニチャネル戦略の成否を決める」
https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/NBO/15/IBM1109/02/
分散データでは把握しきれなかった顧客ニーズの理解を深めるには、オムニチャネル上のプロセスにおける集約された顧客ニーズの把握が必要ではないでしょうか。

多くの企業が課題として取り組んでいるように、集約された顧客情報ソースによるニーズ把握とチャネルの連携が、進化した顧客獲得戦略として必要です。

オムニチャネルとは、販売に至る工程までに関わる全ての役割を含めたものを指します。(取引先や下請け企業と販売企業の掲載スケジューリングによるスムーズな進行と連携)

オムニチャネルマーケティングの達成には、販売経路におけるひとりひとりの情報共有が不可欠です。販売元は外注に任せたら手放しという事なく、情報共有の積極的な取り組み及び連携は疎かにはできない重要な要素です。

ライフエスコートでは「オムニチャネル」戦略実践を提案しており、お客様のニーズの先を行く具体的な解決策を発信していく事をミッションとしております。

多数のコンサルティング実績を基に、ご相談内容の「改善策提案」から「ページ制作」「システム開発」のノウハウがございます。ご興味を持たれました際は、ぜひ、ご連絡ください。

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